NEWS NO.45(2016年度)
キノコと共生するサイハイラン
学名:Cremastra appendiculata
ラン科(Orchidaceae)
サイハイラン属(Cremastra)多年草
中央館の西側に野外礼拝堂林地があります。この林地の中ほどに、淡紅褐色の細長い花が慎まし気に咲いています。近づいて観ますと濃い赤紫色の蘭の花でした。サイハイランです。花序の形がすぼめた傘のように見えます。花が花茎の片側に偏ってつけている様(さま)を見て戦国時代の武将が合戦の際に指示を出す「采配(さいはい)」に似ているところから名づけられました。近年、サイハイランはキノコのナヨタケ科のキノコと菌根共生することが解ってきました。貴重なサイハイランの開花期が今なのです。
【特徴】
1. 落葉広葉樹の林床に群生する多年生のラン科植物です。
2. サイハイランはラン科植物の一種で、日本では北海道、本州、四国、九州の山林に自生します。
3. 葉は1枚だけで、地面に伏すように出し、基部と葉先が三角形状楕円形です。
4. 6月中旬の今が、開花のシーズンです。
5. 花茎は30~40cmで垂直に立て、長さ3cmほどの細長い総状花序を10~20個つけます。
6. 花色は紫色から淡紅褐色で片側に偏ってその様が采配のようです。
7. 花の構造は複雑ですが、背萼片・側花弁・側萼片・蕊柱・柱頭・唇弁を観察しましょう。
8. 地下茎にはキノコの菌が共生していて、菌から養分をもらい成長していく菌従属栄養植物です。
9. 地下には白色卵形の球根(偽球茎)があり、葉を1枚出します。
10.球根を生薬として利用していたようです。