NEWS NO.174 (2016年度)
RGU生物図鑑~ヤドリギ(寄生木)と アカミヤドリギ(赤実寄生木)
学 名:Viscum album 英 名:mistletoe
ビャクダン科( Santalaceae ) ヤドリギ属(Viscum )
【ヤドリギあれこれ】
- 冬季に入りますと、落葉高木の幹や枝のなかに、「鳥の巣」と見間違える灌木植物が観察できます。この植物は寄生性の常緑樹『ヤドリギ』(寄生木・宿り木)です。
- ヤドリギは自らの根を宿主の枝や幹の中に食い込ませて、樹木から水分と養分を吸収し光合成を行う半寄生植物です。
- 春に花が咲き、秋までに1節分の枝を伸ばしていきます。1年に1節だけ成長しますので、二股に枝分かれした節数を数えますとヤドリギの生育年数がわかります。
- 肉厚な黄緑色の葉は対生をなし、茎は二股に分かれます。二股に分かれた枝の中央には、直径7mmほどの透明感がある粘り気の果実を着けます。
- 7mm程の淡黄色い果実をつける比較的大きな株のヤドリギと5mm程の鮮赤色の果実をつける比較的小さな株のアカミヤドリギがあります。また、橙色の果実をつけたヤドリギの株も観察できましたが、種の判別は不明です。
- ヤドリギの果実は11月に成熟し、冬季に鳥の採食により運ばれます。果実には粘着性がありますが、甘味は少ない傾向にあります。果実は鳥の排泄によって運ばれ、新な幹枝に付着し、やがて種子は寄生根を出し、幹の中に根を侵入し寄生していきます。
- 学名のViscumはラテン語の「とりもち」を語源とし、albumは「白い」の意味です。因みに、セイヨウヤドリギ(European mistletoe)は白い果実を着けることから、ヤドリギの学名にalbumがつきました。
- ケルト神話・北欧神話ではヤドリギは『幸福・安全・幸運をもたらす聖なる木』とされています。クリスマス時にヤドリギを飾り、その小枝の下でキスをする未婚の男女には幸せな結婚が約束されるといいます。「女の子は好きな男の子の気を惹くためにヤドリギの下へ行く・・・」「ヤドリギの下で出会った男女はキスをしても良い」「キスを拒むと翌年の結婚には恵まれない」などの言い伝えも生まれました。