NEWS NO.130(2013年度)
中村千秋特任教授が
「野生のアフリカゾウと地域住民の共存」を講演
本学の中村千秋特任教授による講演会「野生のアフリカゾウと地域住民の共存~24年間の歩み~」が、昨年12月12日に本学中央館8階大会議室で行われました。
講演会では、以下のような話がなされました。
(1) アフリカで野生のゾウの研究者になりたい、という夢を実現していった試行錯誤や過程
(2) ケニヤのツァボ地域をフィールドとする中村千秋の研究・活動の24年間の変遷
(3) メインテーマとして力を入れてきた野生のゾウと地域住民の共存のためのアプローチ
-20年前の地域住民の女性たちの会への支援に始まり、現在では学童へのフィールド教育に力を入れている具体的な内容
(4) 日本からの教育エコツアーを企画し、NPO法人(サラマンドフの会)を設立して、総合科学的な見地より学究的、教育的にチャレンジしている内容
中村教授は、「現地のこどもたちがアフリカゾウを知っているのは、家の畑に夜中にやってきていたずらするゾウだったり、通学途上で急に出没して襲いかかってきそうになる野生のゾウたちなど、『害獣』のイメージが強いのです。そうではなくて、野生のゾウは大切な生き物であることをフィールド学習を通して学んでもらうのです」と話し、アフリカの野生動物保護は、地域住民の理解とそのこどもたちへの教育が大きな鍵となると訴えました。
この機会を設けた森川純教授は、「アフリカゾウに対する組織的で大規模な密猟が再発し、それへの対応にアフリカ内外の関係者が苦慮している現在、また依然として象牙消費大国の一つとして留まっている日本の在り方を考えるととても良い機会だと考えます」と話しました。
また、中村教授は2月9日、東京の足立区での「ゾウになって地球を知ろう!」と題した講演を行います。
この講演は、中村教授が非常勤講師をしている放送大学東京足立学習センターの主催で、共催の足立区「あだちの大学リレーイベント」の一環として開かれます。
講演に先立って、中村教授は「DVDや写真をフルに使って、野生のアフリカゾウの立場から語る予定です。講演会に参加する子どもたちがアフリカ、野生の動物に対して豊かなイメージを膨らませ、地球の仲間として生きていくための礎となる講演会したい」と話しました。
中村千秋特任教授の紹介
1958年東京生まれ。アフリカゾウ研究者。米国のミシガン州立大学大学院卒業。ワイルドライフ・マネージメント、自然保護学、栄養学、環境社会学専攻。アフリカゾウ国際保護基金(AEF-I)客員研究員。酪農学園大学特任教授。1989年より、東アフリカのケニヤのツァボ地域(ツァボ国立公園とその周辺地域)を拠点に、アフリカゾウと地域住⺠の問題の緩和に向けて、現地研究調査。 現地での教育エコツアーを通して、共存の理解を深めるためのボランティア活動を継続している。著書に「アフリカで象と暮らす」 (文藝春秋社2002年)「ゾウと共に未来を考える」(eブックランド社2004年)など。その活動は、テレビのドキュメンタリー「情熱大陸」のほか、新聞・雑誌・ラジオ などでも紹介されている。 受賞暦 国際ソロプチミスト日本財団社会ボランティア賞社会人の部(2004年) 中曽根康弘賞優秀賞(2007年)
NPO法人サラマンドフの会ホームページより