NEWS NO.23(2015年度)
ようこそ先輩!実践酪農学で山口克也氏が講義
本学の農食環境学群・循環農学類の「実践酪農学」では、農業の分野でさまざまな立場で活躍している外部講師を招き、講義を行っています。5月15日(金)は、1999年に酪農学科を卒業した山口克也氏が「新規就農への道のり」と題して講義を行いました。
山口氏は本学を卒業後、旧・雪印乳業(株)勤務を経て、2007年に佐呂間町で酪農の新規就農をして、現在は経産牛45頭、育成牛20頭を飼育しています。はじめに野英二教授(循環農学類・フィーディングシステム研究室)が、「山口さんは在学中から、気合いを持ってやれば夢はかなう、という姿勢で、現在は新規就農を果たしてがんばっています。皆さんも山口さんを見習い、大きな夢を持って、何事にも気合いを入れて取り組んで欲しいと思います」と紹介しました。
「私は広島県の出身で、祖父が牛を飼っていたので牛とよく触れ合い、子どもの時から牛が好きでした。農業高校への進学を希望したのですが、祖父が経営で苦労していたのを見てきたサラリーマンの父親から反対され、普通科の高校に進みました。それでも農業をやりたいという気持ちを持ち続けて、酪農学園大学に入りました。ここに来なかったら、今の自分はないと思います。
大学では家畜栄養学研究室で研究をし、標茶町で1カ月の酪農実習も行い、部活では応援団の団長を気合いで勤め、充実した楽しい学生生活を過ごしました。卒業後の進路について、就農したいと親に話したところ、資金はどうするのかと再び反対されました。そこで、一社だけ、雪印乳業を受けることにしました。東京本社での面接には、応援団の学ランを着て臨みました。スーツを着て自分を作るのではなく、『自分はこういう人間です』とありのままを見せるのがいいと考えたからです。受付の方には不審な目で見られたのですが、結果は採用されました。
内定を断って就農するつもりでいたのですが、両親がとても喜んでいたので悩み、先生に相談したところ、『とりあえず3年間、会社勤めをしてみてはどうか』とアドバイスを受け、サラリーマンの道を選びました。しかし、新規就農の夢は持ち続け、25歳で退職して広島県の牧場で働き始めました。農場を譲ってくれるという話が白紙になったり、無給で働いて生活のために借金をしなくてはならないなど苦しい日々もありましたが、佐呂間町で就農している同級生がいたことから、同町で離農する酪農家を継ぐ話が持ち上がり、30歳でどうにか、念願の自分の牧場を持つことができました。
今は、しっかりとした牧場経営を目指しています。放牧を主体とし、あまりお金をかけずに、牛にとって快適な環境を作るように工夫しています。牧草の刈り取りなどは作業委託を利用して、極力、機械購入の借金をしないようにしています。
新規就農までには、遠回りもしました。同じく就農を目指しながら、途中でやめざるを得なかった仲間たちも大勢いました。もし農家を目指すなら、積極的に情報を収集して無駄な苦労は極力避けて、やるべき苦労をしっかりとやって成功させてください。新規就農に必要なものは、情熱、経験、家族、お金です。情熱はへこたれない気合いです。経験とは農業の経験だけではなく、学生生活の中での勉強はもちろん、アルバイトや部活も大事な経験です。そして、それは全て人との出会いから生まれるものです。みなさん、その出会いを大切にしてください」。
講演後は学生たちの質問に答え、最後は気合いを込めて応援団の酪農エールを披露してしめくくりました。