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日本森林学会大会で、河上智也さんがポスター賞を受賞

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NEWS NO.212(2015年度)

日本森林学会大会で、河上智也さんがポスター賞を受賞

 

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 2016年3月27日(日)~30日(水)の4日間、日本大学生物資源科学部(神奈川県)で開催された「第127回日本森林学会大会」において、本学環境共生学類4年の河上智也さん(生態系物質循環研究室・保原達准教授)のポスター発表が、ポスター賞を受賞しました。

 日本森林学会は、環境の維持増進と、林産物の供給などの森林の価値や機能に関する研究の発展を目的に、1914年に創立された、森林・林業を総合的に扱う日本で唯一の学会です。現在、およそ3,000名の会員を有し、毎年学術大会を開催して、研究発表、研究会、シンポジウム、ポスター発表などを行っています。河上さんのポスターは、発表された507題の中から「立地部門」のポスター賞に選ばれました。

 

 受賞した研究発表は、「土壌の有機物吸着性は土壌炭素蓄積量に違いをもたらすか?」です。生態系において、土壌は炭素を長期的に保持しますが、落ち葉などの土壌有機物がどのように微生物に分解されて変換され、安定して保持されるのか、そのメカニズムはあまりわかっていません。河上さんは、落ち葉などの有機物源の多くが微生物体に取り込まれることに着目し、有機物吸着能力の異なる(含有する鉱物の質が異なる)3種類の培地土壌(桜島火山灰、恵庭火山灰、赤玉土)を使って、有機物源としてグルコースをそれらに与え、その濃度と土壌炭素濃度の変化を120日間に渡って追跡しました。また、土壌中の微生物由来のアミノ酸量と炭素量の測定も行いました。その結果、グルコースを、微生物が炭素を含む新たな物質に変換して土壌に蓄積し、その蓄積には、有機物吸着能力を持つ鉱物が関与していることが明らかとなりました。

 

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DSCN0642-1●河上智也さん

 「土壌有機物が微生物によって新たな物質に変換されることは、最近の研究でわかっていましたが、それが蓄積されるまでの流れに着目したことと、植物ではなくグルコースという、非常に分解されやすい物質でさえも、土壌の機能によって長期の炭素蓄積に寄与するという結果を出せたことが、研究の独創性、新規性を評価されたと思います。この賞は自分一人の力ではなく、着想を与えてくださった保原先生をはじめ、一緒に研究したゼミの仲間、多くの有意義なアドバイスをいただいた阿江教治特任教授や、島根大学の松本真悟准教授をはじめとする方々のおかげです。

 私は地球温暖化や気温上昇に興味を持っており、土壌は温暖化に関係する炭素を大量に蓄積することから、そのメカニズムを研究したいと思い、このテーマを選びました。これは基盤的な研究ですが、基本的なことがわからなければ、もっと大きな問題は解決できません。これからの発展が期待できるテーマですので、後輩にぜひ引き継いでもらいたいと思っています。

 4月からは北海道大学の大学院に進み、幌延町の天塩研究林で、気候変動下における土壌や植物の変化、ミミズやヤスデなどの土壌動物がどのように物質循環に関与しているかなどを研究する予定です。興味を持っている分野をさらに掘り下げるとともに、より広範囲の研究を知ることで知見を広げられることを、とても楽しみにしています」。


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