NEWS NO.42(2016年度)
ようこそ先輩!実践酪農学で中村由美子氏が講義
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本学農食環境学群循環農学類の「実践酪農学」では、酪農の分野でさまざまな立場で活躍している外部講師を招き、講義を行っています。6月10日(金)は、1979年に本学酪農学科を卒業した中村由美子氏が「酪農を軸として、食と地域を考える」と題して講義を行いました。
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Clik here to view. 中村氏は、千歳市で牧場経営主として乳牛約50頭を飼育する傍ら、女性農業者ネットワーク「きたひとネット」の会長、農業総合月刊誌「農家の友」の編集委員、千歳市農業委員を務めています。さらに、千歳市駒里地区の農業の再生と地域振興を目的に、千歳市駒里農業協同組合を設立し、駒里地区で収穫されたそばを「千歳駒そば」として提供する店舗「駒そば亭」を運営し店長を務めるなど、多方面にわたって活躍しています。
はじめに、猫本健司准教授(実践農学研究室)が、「今日は、前期で唯一の女性講師であり、竹花一成学長と同級生の大先輩、中村さんにお越しいただきました。千歳市で酪農を経営しながらさまざまな活動を行い、過去には酪農学園の評議員も務めていただくなど、活躍をされている方です」と紹介しました。
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Clik here to view.●中村由美子氏の講義
「私は酪農家の四人姉妹の長女で、周囲から後継を期待され、悩みましたが、最終的には後継を決意して、酪農学園大学に進学しました。その頃から世界の食糧難の問題が取り上げられており、やがて来る食糧難に立ち向うために農業はどうあるべきか、仲間同士で盛んに議論していました。大学では、ただ牛がかわいいと飼うのではなく、経営していく上では、環境や経済と調和していくことが大切だということを学びました。また、酪農業は、家畜生理学や微生物学、経済学、経営学など広範囲の知識が必要とされ、その集大成を行うすごい仕事だと実感しました。
卒業後は、夫と共に実家の酪農を後継しました。酪農学園短期大学酪農学校の農業経営科で通信教育を受講して農業簿記を学び、簿記をつけて青色申告をして、経営状況を理解できるようになりました。そのことで、より良いものを生産したいという意識が高まり、関係先との交渉、消費者との対話などを通じて、農業者としての自信を強く持てるようになりました。
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中村由美子氏 (1975年) | きたひとネット | 駒そば亭のそば |
現在は、農業の男女共同参画を促す『家族経営協定』の普及に関わっています。家族間で、農業経営に関わるビジョンや目的、労働条件、役割分担などの協定を第三者立会いのもとで結びます。共同申請制度を利用すると、経営者だけではなく、その配偶者や後継者も『認定農業者』の申請をすることができます。認定されれば、妻や子供も国の低利融資や補助を受けたり、農地売買が可能になります。大事な制度なのですが、まだあまり認知されていません。
「きたひとネット」は、北海道内の女性農業者が集まって学んだり交流をするネットワークです。女性農業者が経営感覚を身に着け、手伝いではなく経営者として成長することを目的としています。それと同時に、若いうちからどんどん経営に携わっていける女性を育成することにも取り組んでいます。
私はまた、地域振興を目的として、千歳市駒里地区で収穫されたそばを使った「駒そば亭」を運営していますが、「あなたのそばにいたいプロジェクトin駒里」という、農村づくりのプロジェクトも行っています。体験者を受け入れ、そばの種まきから収穫、そば打ちまでを行います。そこでそば粉を使ったピザを焼くためのピザ釜を自作し、市内の祭りにピザを出品しました。また、直売所「こ〜まの里」大収穫祭ではわんこそば大会を開き、この祭りは毎年約2,000人にご来場いただいています。
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そばの収穫 | そば打ち | 移動式ピザ釜 |
地域のいろいろな役職をしていると、忙しくはありますが、人とのつながりができ、さまざまな情報を得て、それを自分の経営に活かすことができます。農業は一人ではできません。地域に生かされて酪農ができ、だからこそ地域を守っていく大切さを実感しています」。
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