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Channel: 在校生の方へ –酪農学園大学 | 獣医学群・農食環境学群
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海外招へい研究者による報告会を開催

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NEWS NO.85(2016年度)

海外招へい研究者による報告会を開催

8月3日(水)、本学学生サービスセンターにおいて、2016年度海外招へい研究者プログラムで5月に来学し、およそ3か月間の研究を行った2名の招へい研究者、ダン・シュアン・シン氏と川上宏明氏の研究成果報告会を開催しました。

はじめに、本学エクステンションセンター所長の髙橋俊彦教授があいさつし、続いて、受入教員が研究概要を説明し、研究者による発表が行われました。最後に、獣医学群長の北澤多喜雄教授より、修了証書と記念品が授与されました。

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(左から)北澤多喜雄教授、ダン・シュアン・シン氏、蒔田浩平准教授



(左から)北澤多喜雄教授、川村宏明氏、郡山尚紀准教授

(左から)北澤多喜雄教授、川村宏明氏、郡山尚紀准教授



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●ダン・シュアン・シン氏(ベトナム・ハノイ公衆衛生大学 獣医学修士)

研究テーマ:
「ベトナムにおける豚肉喫食によるサルモネラ症の定量的リスクアセスメント」
招へい期間:5月9日~8月6日
シン氏は、オーストラリア出資、国際家畜研究所(ILRI:イルリ)の「PigRiskプロジェクト」にて、受入教員の蒔田浩平准教授(獣医疫学)の指導のもと、ベトナムの小規模養豚場で飼育された豚の肉を食べることによる、人のサルモネラ症リスクの研究をしてきました。本学はハノイ公衆衛生大学ならびにILRIと学術協定を締結しており、シン氏は医学系のハノイ公衆衛生大学で研究者となったベトナム史上初の獣医師です。
今回、5月に来学してからの3か月間で、以下の研究を行いました。

1.養豚場、と畜場、市場での環境と豚、豚肉において、サルモネラ汚染が起こる要因の特定を統計学的手法により特定しました。要因から、衛生管理の重要性が浮かび上がってきました。
2.年齢・性別グループ別の定量的リスク評価では、推定年間発生率は約12%と非常に高く、特に豚肉喫食の頻度と量が多い成人男性で、高い傾向にあることが分かりました。「感度分析」という手法から、人のサルモネラ症を低減するのに有効な対策は、家庭での調理後交差汚染防止(※)が最も重要で、次に消費者が豚肉を多く購入する市場での汚染率低下でした。
3.さらに、どのような介入方法と、その組み合わせが有効であるかについてもシミュレーション解析は終了しており、現在取りまとめているところです。

なお、シン氏は来年度の本学大学院博士論文提出による博士号申請への準備を進めており、また酪農学園大学に戻って来るよう努力しています。
学生や教職員、地域の方々に大変お世話になったことに感謝し、シン氏は8月6日にベトナムに帰国します。

(※)下処理には専用の調理器具を用いる。同じ器具を加熱前後で使用するときは十分に洗浄する。

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●川村宏明氏(アメリカ・フィンドレー大学 言語文化学科長)

研究テーマ:「現在日本における動物と人間の関係」
招へい期間:5月13日~8月9日
川村氏は、かねてからの調査研究において、現代の日本人と動物がどのように位置づけて関係を作っているのかについて、疑問を持っていました。ペットと日本人の関係は強くなっていますが、そうした人間の動物感は家畜や野生動物、実験動物にも移行しているのか、また、コンパニオンアニマル(=ペット)を日本人はどのようにとらえ、それらとどのように繋がっているのかということです。
本学での3か月間、川村氏は受入教員の郡山尚紀准教授(動物行動生態学)のゼミに参加したほか、本学で開催された動物看護学会と、京都市で開催された国際的なアジア研究大会「Association for Asian Studies」に参加しました。また、本学の教職員や学生、外部の方々から、動物との関わりについての聞き取り調査を行いました。そのほか、郡山准教授のペットのしつけ教室に参加したり、畜産農場やペットショップ、猫カフェ、老犬・老猫施設などを訪問しました。
それらの調査から、川村氏は、日本人のペットに対する擬人化は家畜においても存在し、同じことは野生動物にも当てはまると考えました。また、コンパニオンアニマルについては、人間と動物は支配・被支配関係にあり、その中でお互いに共生できる環境を作ろうとしており、不公平な力関係の中で、人間の立場からの視点で成り立っていると結論しました。

川村氏は、「郡山ゼミでは、目から鱗が落ちるような、まさに別世界のすばらしい経験をさせていただきました。また、参加した2つの学会は、普段ならば参加しない種類のもので、新たな視点やアイディアを得ることができました。自分の幅を広げる活動ができ、招へい研究者として3か月間を過ごすチャンスをいただけたことを本当に感謝しています。フィンドレー大学の同僚たちが、これに続いてくれることを願っています」と述べました。

 

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