NEWS NO.14(2017年度)
「実践酪農学」での長期実習体験を発表
本学循環農学類の「実践酪農学コース」では、2年前期と3年後期に各4カ月間ずつ、酪農家に入って学ぶ長期実習を行っています。教養や知識だけではなく、それを現場で生かす「実学教育」です。5月19日(金)の講義では、この実習に参加した3名の学生が、その体験談を発表しました。
はじめに猫本健司准教授(実践農学研究室)が、「酪農にはいろいろな経営方法があり、これと言う正解はありません。この実習では、低コスト・低頭数の小規模農家と大規模農家の両方を体験できるプログラムを組んでおり、自分にとっての理想の酪農とは何かを追求するための力になります。具体的に学びたいものを持っている学生さんにとって、とても楽しい実習になると思います」と紹介しました。
●武島拓海さん(4年)
実習先:吉田牧場(足寄町)2015年4月~9月 永洞牧場(浜中町)2016年10月~2017年4月
吉田牧場は乳牛約70頭を繋ぎ飼いしています。朝4時半から作業を開始し、掃除・除糞、搾乳などを行い、午前の作業は11時半に終了します。休憩時間を挟んで15時半に作業を始め、18時には帰宅していました。永洞牧場は経産牛を101頭飼育しており、放牧をしていました。午前の作業は5時から9時半までと短く、午後は14時から18時半まででした。
この実習を通して、自から考えて動くことができるようになり、授業で学んでいたことを実感として理解できるようになりました。反省としては、もっと積極的に農家さんに質問して話し、いろいろなことを学びたかったと思っています。
●成澤遥さん(3年)
実習先:桑原牧場(足寄町)2016年4~9月
私の実家は群馬県の酪農家で、将来は後継するつもりです。北海道の酪農を学びたいと考えてこの実習を履修しました。
桑原牧場は経産牛42頭と育成牛30頭のほか、趣味で肉牛を数頭飼育していました。パーラーしかないめずらしい牧場で、日中も夜間も放牧します。午前の作業は4時半から10時くらいまでで、午後は15時から19時くらいまでです。昼の休憩が長いので自由時間が多く、十勝のいろいろな場所を訪れました。この実習では牛に触れることができ、地元の方や新規就農者の方たちと話す機会も多くありました。
不便だったのは、希望した授業が取れなかったり、学校の行事への参加が難しかったことです。6月の白樺祭ではサークルの発表があったのですが、なんとか2,3日の休みを作って練習に参加しました。
●高橋真彰さん(4年)
実習先:坂本牧場(鹿追町)2015年4~8月 吉田牧場(足寄町)2016年10月~2017年2月
鹿追町は、畑作と酪農が盛んな町で食料自給率は100%を超え、スーパーの食材はほとんどが鹿追町産でした。酪農は集約的経営が多く、1頭あたりの泌乳量の平均が高い農家さんが多いところでした。坂本牧場は経産牛約80頭と育成牛約30頭を飼育するほか、交雑牛の生産にも力を入れていました。
この実習を通して、授業では専門知識で理解できなかった部分を実際に作業する中で理解でき、より確実な知識として身につけることができました。また、大学以外での人の輪が広がり、さまざまな人の意見を聞く中で、自分の考え方や目標を見直すいい機会になりました。実習を終えても人とのつながりは続いており、それをうれしく思います。
発表後は質疑応答が行われ、「自由時間は何をしていましたか」「足寄町は自分の出身地ですが、どういう印象を持ちましたか」などの質問が出されました。最後に聴講している後輩たちに向けて、成澤さんは「他の授業では決して得られないことを学べるので、酪農に興味のある方はぜひ受けてください」高橋さんは「スケジュール上、この実習を受けると教職課程が取れなくなるので悩みましたが、今後に生きるとても良い経験ができました」武島さんは「実習してみたいという軽い気持ちでも大丈夫なので、ぜひ受けてみてください」と話しました。