NEWS NO.12(2018年度)
「実践酪農学・実践農学」での長期実習体験を発表
本学循環農学類の「実践酪農学コース」では、2年前期と3年後期に各4カ月間ずつ、酪農家に入って学ぶ長期実習を行っています。教養や知識だけではなく、それを現場で生かす「実学教育」です。5月25日(金)の実践酪農学の講義では、この実習に参加した学生4名と、実践農学コースで40日間の実習を行った学生1名がその体験談を発表し、1年生およそ220名が聴講しました。
はじめに猫本健司准教授(実践農学研究室)が「合計8カ月間の長期にわたり酪農家の敷地内などに住みながら学ぶこの実習は、今年で14年目となります。江別市を離れ、さまざまな形態で酪農を営んでいる農場へ行き、実学を積んで帰ってきた先輩たちの話を聞いてください」と話しました。
続いて学生たちが、実習での1日のスケジュールや作業内容、生活の様子などを紹介し、そこで学んだことについて話しました。
藤田睦樹さん(4年)実践酪農学実習
高塚牧場(鹿追町)4カ月間 二瓶牧場(浜中町)4カ月間
「3年の後期に実習をした浅野牧場は放牧酪農をしており、朝5時から牛舎掃除、6時過ぎに搾乳、10時から15時までは昼休みで、その後19時まで作業というのが一日の流れでした。酪農の現場がどういうものかを肌で感じ、学校ではわからないことを知りました。酪農だけではなく、社会勉強にもなりました。農家さんとのコミュニケーションがうまく取れずに悩んだりもしましたが、酪農に興味のある人は行って後悔しないと思いますので、ぜひ履修してください」。
小玉明日香さん(3年)実践酪農学実習
永洞牧場(浜中町)4カ月間
「この牧場では、4.0牛乳という乳脂肪分の濃い牛乳を生産するために、飼料を細かく調合して工夫していました。生クリームのように濃厚な、とてもおいしい牛乳でした。実習中には、早朝に牛舎に作業に行った際、夜の間に牛が分娩して子牛が生まれているのに気づかなかったことがありました。もっと広い視野を持って牛や牛舎を観察し、常に考え、疑問や意見を持つことの大切さを学びました」。
奥野拓未さん(4年)実践酪農学実習
吉田牧場(足寄町)4カ月間 永洞牧場(浜中町)4カ月間
「実習中は農家さんから月に5~6万の生活費が支給され、それで食材を購入して自炊していました。3食を自分で作るのが結構大変だったり、朝4時15分からの作業に何度か寝坊して遅れて怒られたり、いろいろなことがありましたが、1年の時からずっと目標としてきた実習だったので、貴重な体験ができてとても良かったです」。
佐藤未和さん(3年)実践酪農学実習
浅野牧場(鹿追町)4カ月間
「農場内の従業員住宅に住み、車も借りることができました。作業は4時半から始まりますが、10分前行動を心がけていました。実習の中では牛の出産に立ち会い、逆子かどうかを調べるために産道に手を入れて判断する方法を学びました。また、搾乳のやり方や乳房炎の防止対策を知ることができました。実習先以外の農場を合同で視察見学する機会もあり、どこでも牛を大切にしていることが感じられました」。
吉田 夢さん(3年)実践農学実習
(有)山谷グリーンファーム(むかわ町)20日間 百姓たきのうえ(滝上町)20日間
「レタスやキャベツ、ビートを育てている大規模農家と、自然農法でトマトなどを育てている農家で実習を行いました。農薬を一切使わず、水もほとんどやらずにに育てたトマトは、フルーツのように甘くてとてもおいしかったです。酪農家と違って作業内容が天候により変わるので、開始時間はまちまちでした。大規模と小規模の両方の農家が経験でき、海外実習生とも交流して友達が増えました。食事がおいしく、観光に連れて行ってもらったりもして、とても楽しい実習でした」。
発表後は、聴講した1年生から盛んに質問が寄せられました。「この実習を選んだ理由は何ですか?」という質問に、小玉さんは「私は根性がなく将来の夢も定まっていなかったので、自分は本当に牛が好きなのかを確かめるためにこの実習に参加しました。牛は本当に素直でかわいく、快適な環境を作ってあげられる仕事に就きたいという夢が持てました」と答えました。