NEWS NO.28(2018年度)
上野敬司准教授が筆頭・責任著者の論文がJournal of Experimental Botanyに掲載
本学農食環境学群・食と健康学類の上野敬司准教授(食品栄養化学研究室)が筆頭・責任著者の論文(Purification, characterization, and functional analysis of a novel 6G&1-FEH mainly hydrolyzing neokestose from asparagus 和訳:アスパラガス由来のネオケストースを主に分解する新しい6G&1-FEHの精製, 性質と機能解析)が、植物科学の研究分野で世界的に権威ある学術雑誌のひとつである「Journal of Experimental Botany」に掲載が許可され、オンライン版が公開されました。掲載された論文は本学同学類小野寺秀一教授(食品栄養化学研究室)、循環農学類園田高広教授(農場生態学研究室)、本学塩見徳夫名誉教授、農研機構北海道農業研究センター吉田みどり上級研究員との共同研究で行ったものです。
アスパラガスは越冬性植物で秋冬季に根に養分としてフルクトオリゴ糖(FOS)を貯めます。食品栄養化学研究室ではこれまでにアスパラガスのFOSの構造やその合成に関わる酵素や遺伝子について報告してきました。このFOSは春の収穫期には徐々に分解され減少していくことから、FOSがアスパラガスの萌芽に利用されることは知られていましたが、どのような酵素が関わって分解されるのか不明でした。そこで、本学で伏せ込み促成栽培(※下記リンク先参照)で育てたアスパラガスを実験試料に用いて根に蓄積するFOSを分解する酵素及びその遺伝子を調べたところ、これまで他の植物で知られていた類縁の酵素とは大きく異なる新しい酵素であることを発見し、Journal of Experimental Botany誌にて論文報告されました。
著者の上野敬司准教授は「オリゴ糖研究から派生して始めた植物生理学的な研究を、長い時間をかけて学生たちと一緒に少しずつ進めてきました。集めてきたデータをまとめて論文にすることができました。関わった学生やアドバイス等頂いた研究者や先生方に感謝いたします。また、アスパラガスの萌芽と根のFOS分解との関係についてまだ不明な点が多く残っていて、それを一つずつ明らかにしていき、新たな品種の育成やアスパラガス生産現場で活用できるような情報が得られるよう今後も研究を発展させていきたい」と述べています。
論文へのリンク先↓
https://academic.oup.com/jxb/advance-article-abstract/doi/10.1093/jxb/ery234/5042162
伏せ込み促成栽培についてはこちら↓
NEWS NO.109(2014年度)グリーンアスパラガスの伏せ込み促成栽培を実習