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フォンテラジャパン社長 斎藤康博氏が講演

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NEWS NO.23(2014年度)

フォンテラジャパン社長 斎藤康博氏が講演

 

循環農学類主催のセミナーが、5月29日(木)本学中央館1階学生ホールにて開催され、ニュージーランドの乳業最大手「フォンテラ」の日本法人、フォンテラジャパン株式会社の代表取締役社長である斎藤康博氏が、「ニュージーランド酪農とフォンテラの現状」と題して講演を行いました。会場には学生や教職員、農業関係者などおよそ250名がつめかけ、熱心に耳を傾けました。

フォンテラはフランスのダノンやスイスのネスレなどに続く世界第4位の乳業メーカーで、最近、同社が道内にモデル農場を作る計画があると新聞報道され、話題になっていました。斎藤氏は4つのテーマについて話しました。

 

P1040368●ニュージーランドの酪農

「世界の乳生産量は、2013年は7億8,000万トンで、ニュージーランドの生産量はその2.5%です。一方、輸出に関しては、世界の総輸出量5,290万トンに対し、ニュージーランドは1,670万トンでその32%占め、EU全体の輸出量1,210万トンを超えて世界第一位です。今後インドや中国での需要の伸びが予想されるので、需要の伸びに生産が追いつかなくなることが懸念されます。

乳製品の価格は1980年代はトン当たり1,000ドル以下だったのが、2011年には5,000ドル以上に上がり、今後も上昇傾向の見込みです。この価格から見ると、日本の乳製品の価格は高くありません。

ニュージーランドの酪農といえば、放牧が主体で低コストとイメージするかもしれませんが、それは過去のもので、土地代は日本の4~5倍、CO2の排出を減らす環境対策が必要、国からの補助金が全くないという厳しい環境の下で、酪農家はチャレンジしています」。

 

●フォンテラの現状

「10,500戸の酪農家が株主の企業で、生産から加工、輸送、販売までを行います。集乳量は世界一で、国際市場を視野に入れた輸出中心の会社です。乳製品の需要増加に対応するため、オーストラリア、中国、南米でも牧場を経営しています。世界で生産し、製造、輸送、販売まで世界レベルのサプライチェーンを構築しています。国境はありません。中国の唐山と玉田に農場を持ち、それぞれ3,000頭の搾乳牛を飼っています。2020年までに生乳生産量を100万トンにするのが目標です。

フォンテラジャパンはエイジングに合わせた機能性乳原料の開発を行っています。食品メーカーと長期の原料供給契約を結び、パートナーシップを深めてきました。

フォンテラの歴史はコスト低減の歴史です。いかに流通コスト、管理コストを減らして農家の収益を増やすかに17年間取り組み続けています」。

 

●日本の酪農の持続的発展のための要素

「日本の酪農はガラパゴスです。保護された体制からの脱却が求められます。世界市場との連動性を意識して、ビジネスとして自立すること、経済性の追求、法人化の拡大が必要です。コスト削減も必要ですし、制度改革も必要です。ニュージーランドでできたことが日本でできないのならば、それは何故なのか、日本モデルは何なのかということを考えていくべきだと思います。

そして、酪農は将来への展望が描ける、夢のある産業だというイメージを作り上げることが重要です。ニュージーランドでは、酪農は若い人のあこがれの職業です。アメリカやヨーロッパでも同様で、日本だけが違っています」。

 

●TPPについて

「中国はニュージーランドとのFTAによって、自国内の乳製品の供給危機を回避し、粉ミルク騒動での社会不安を抑えることができました。日本も酪農の競争力を強化して、持続的発展に繋げるべきです。世界の乳製品の需要はひっ迫し、価格も大きく変動しています。TPPがなければ乳製品が買えなくなります。自由貿易を進めることが大事です」。

 

斎藤氏は最後に「ニュージーランド・北海道酪農プロジェクト」について「モデル農場を作る計画は今のところなく、北海道の放牧酪農家からデータを集め、生産性向上の支援をしたい。プロジェクトの詳細は6月中に発表する予定」と説明しました。

 

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