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2014年度 市民公開講座「獣医の卵たちによる哺乳類の勉強会」を開催

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NEWS NO.120(2014年度)

2014年度 市民公開講座「獣医の卵たちによる哺乳類の勉強会」を開催

 

 本学獣医学類感染・病理学分野獣医寄生虫病学ユニットに所属し、本学動物病院構内野生動物医学センターを拠点にする学生(指導:浅川満彦教授)が行う、酪農学園大学市民公開講座「獣医の卵たちによる哺乳類の勉強会」(本学エクステンションセンター主催)が、12月6日(土)、7日(日)に本学研修館で開催され、およそ50名が受講しました。

P1120991 この勉強会は、愛護法で規定される爬虫類・鳥類・哺乳類を対象に、基礎的なことから保全医学についても学ぶことを目的としており、今回は哺乳類がテーマです。

 はじめに浅川教授が、「これから獣医師として羽ばたく学生たちは、お客様に対してしっかりと説明できる力を身に付けなければなりません。みなさん勉強をしにいらっしゃっていますが、これは学生たちの勉強の場でもあります。どうぞ厳しく鍛えてやってください」とあいさつしました。

 

 1日目の第1講座は、田中祥菜さん(5年)が「総論と各論1(単孔類、有袋類)」の講義を行いました。最初に哺乳類の概要として、代謝、生殖、脳、視覚、進化の過程などを解説しました。次に各論に移り、単孔類(カモノハシ目)と有袋類(フクロネズミ目)について、それぞれの生態や特徴、また、近年起きている伝染病や人間との関わりについて解説しました。有袋類はなぜオーストラリアに多くいるのか、タスマニアデビルの育児嚢(いくじのう)が後ろ向きに付いている理由はなぜか、など、興味深い内容をわかりやすく説明しました。

 保全医学について触れ、「保全医学というのは比較的新しい学問で、『保全』と『保護』の違いを知ってもらいたいと思います。『保全』は人間が手を加えて守ること、『保護』はそのままの姿を保つことを意味します。保全医学とは、環境問題やそれに伴う感染症などの問題を、人、動物、生態系を含めた地球全体の健康問題として捕らえ、人が介入して積極的な対策を取ろうとするものです」と話しました。

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 第2講座は、髙野結衣さん(4年)が「各論2(霊長類、翼手類、ツパイ類など)」の講義を行いました。それぞれの生態を解説し、コウモリが逆さまにぶらさがる理由や、ツパイは日常的に飲酒をする習慣があることなど、豆知識も交えました。講義の中で、人とコウモリの関係について触れ、「殺虫剤に汚染された昆虫を食べて毒素が体内に蓄積したり、開発によって餌を採る場所や住みかが破壊されたりして、その数を減らしています。コウモリは巨大な群れで生活するので、悪影響を一度に受けやすい上に、通常は一度に一子しか産まないので、減った個体数は簡単には回復できません」と話しました。

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 第3講座は、古瀬歩美さん(5年)が「各論3(げっ歯類など)」の講義を行いました。ネズミ目とウサギ目について生態を解説し、これらは最も身近な野生哺乳類であることや、その分類や特徴、抱えている問題点などを丁寧に説明しました。講義の最後に、「今回紹介したのは、人間との関わりが大変深い動物たちです。ネズミが健康な状態でなければ、私たち人間にも被害が及びます。人、動物、環境の健康をそれぞれ分けて考えるのではなく、地球の健康として一つに捉える考え方を、『One World One Health』と言います。ネズミは元気かな?と大勢の方が思えるように、今日知ったことを、少しでもご家族や友人に伝えていただけるとうれしく思います」と話しました。

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 講義の後は全員で、展示された哺乳類の標本を観察し、学生たちが受講者の質問に答えました。受講者は「すばらしい講義で、哺乳類の世界が一気に開けたように思います」と感想を述べました。この夏休みに「ひらめき☆ときめきサイエンス」(日本学術振興会科研費還元事業)にも参加した小学生は、「すごくわかりやすくて楽しかった。動物が大好きなので、また来たいです」と話し、熱心に標本を観察していました。

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 翌日、2日目にも学生による授業が行われ、城戸美紅さん(4年・写真右端)、佐渡晃浩さん(5年・写真右から2番目)、竹内萌香さん(4年・写真左端)が、有蹄類、海獣類、肉食獣などの大型哺乳類の各グループについて講義を行い、こちらも好評のうち終了しました。浅川教授は、「授業で用いられた標本の多くは、野生動物医学センターに持ち込まれた検体を基にしたものです。一部は市民の皆さんから救命を依頼され、不幸にして命を落とした動物も含まれます。それらを、このような教育の場の有効な教材として甦らせることも、獣医の卵たちの使命かもしれません」と語りました。

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手前 クマ類

有蹄類

イタチ類


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