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「第2回大気エアロゾルシンポジウム 黄砂からPM2.5まで」を開催

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  NEWS NO.164(2014年度)

「第2回大気エアロゾルシンポジウム 黄砂からPM2.5まで」を開催

 

 本学が主催し、日本気象学会北海道支部、大気環境学会北海道東北支部、(地独)北海道立総合研究機構が共催した公開シンポジウム「第2回大気エアロゾルシンポジウム 黄砂からPM2.5まで ~環境・健康への影響~」が、2月20日(金)本学研修館にて開催され、市民、学生や教職員約50名が参加しました。

 

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P1150815  環境共生学類の馬場賢治准教授(環境気象学研究室)は、本シンポジウムの趣旨を、「本学で行われているアジアダストの研究は、2012年度から始まりました。大陸から離れた地域で発症するウイルス性疾患は、黄砂が原因なのかということを知るためには、黄砂に付着する生物由来物質について明らかにする必要があります。研究はまだ始まったばかりです。今回のシンポジウムで検討、討論をして、方向性をしっかりと確かめたいと思います」と説明しました。
P1150871  第一部の基調講演では、九州大学の真木太一名誉教授が「風が運ぶ黄砂と口蹄疫」と題して講演を行いました。「2010年3月下旬に宮崎県で口蹄疫が発生した時には、3月14日に中国甘粛省で感染力の強い豚口蹄疫が発生していました。当時の気象状況から、このウイルスが、黄砂に付着して日本に飛来したのが原因と推測できます」と話し、これからの黄砂飛来シーズンに向けて、家畜を屋内に入れたり、雨水を飲ませない、石灰や木酢液の散布などの対策の必要性を強調しました。また、口蹄疫以外にも麦サビ菌、枯草菌などの病原菌が黄砂に乗って地球規模で回遊することを指摘し、今後の調査研究の重要性について述べました。

P1150904  続いての基調講演では、名古屋大学の篠田雅人教授が、モンゴルにおける黄砂研究チームの活動状況や調査結果を、砂塵が激しく吹き荒れる中での現地調査の様子を撮影した動画映像なども交えながら報告しました。

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P1150932  続いての講演では、北海道立総合研究機構環境科学研究センターの秋山雅行氏が、2014年7月に北海道全域で観測された高濃度のPM2.5は、ロシア・シベリア地域で発生した森林火災の煙が運ばれたのが原因と考えられることなどを報告しました。また、同センターの野口泉氏は、森林火災による大気汚染物質の成分について、詳しく報告を行いました。
P1150989  環境共生学類の星野仏方教授(環境リモートセンシング研究室)は、「黄砂現象とは強風によって発生するダストストームで、人や家畜、農業に深刻な被害をもたらしています。中国、モンゴルのゴビ砂漠など、北東アジアの乾燥地域がその発生源です。そこで現地測定と衛星モニターリングを行い、ダストストームの臨界条件を推定しました」と述べました。
 続いて本学大学院酪農学研究科の出村雄太さん(修士1年)が、南ゴビにおける黄砂発生時の現地測定結果を報告し、ドライレイク(乾燥により湖底が露出した湖)がないことや植生被覆が、ダストストーム発生の制限要因となっていると話しました。また、同研究科の祖父江侑紀さん(修士1年)は、南ゴビにおける水場周辺地域での植生の変動について報告しました。

 

P1160018  第二部の講演では、獣医学類の能田淳准教授(環境衛生学ユニット)が、「黄砂由来のエアロゾルが飛来することで、人の健康への影響が危惧されています。特に、その中に含まれる生物由来物質の影響を把握することが必要となっています。そのために、生物由来物質の組成を測定する取組を、全学レベルで行っています」と話しました。
P1160051  続いての基調講演では、金沢大学の牧輝弥准教授が、黄砂に乗って微生物が日本に飛来しており、家畜や農産物への病害や、人の健康被害が懸念される一方で、微生物を活用する試みもあり、金沢大学では、飛来した黄砂から発酵菌を分離して開発した納豆「そらなっとう」が各スーパーで販売されているほか、JALの機内食として提供されていることを紹介しました。
P1160068  京都府立医科大学の中屋隆明教授は、感染症学における微生物の遺伝子解析の最新の手法を、ノロウイルスなどの解析事例を示しながら紹介しました。これからの試みとして、「環境中の微生物叢の解析にチャレンジし、健康との関連性を見ていきたいと思います」と話しました。
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 第三部では、獣医学類の萩原克郎教授(獣医ウイルス学ユニット)を座長として、総合討論が行われました。人の健康をどう担保して行くかという課題を共通テーマとして、東南アジアのダストが周辺諸国に与える影響や、現地調査の必要性、予防に向けた国境を越えての教育活動、インフラ整備などについて幅広い議論が交わされました。

 

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