NEWS NO.180(2015年度)
特別講義 野生動物学特論
獣害対策で地域を創る~野生動物管理における新しい民間の役割と可能性
特定非営利活動法人里地里山問題研究所(さともん)の代表理事鈴木克哉氏による特別講義、野生動物学特論(担当:環境共生学類野生動物生態学研究室 佐藤喜和教授)が1月22日に本学で行われ、環境共生学類の学生と酪農学研究科の大学院生約60名が受講しました。「獣害対策で地域を創る-野生動物管理における新しい民間の役割と可能性」と題して、獣害対策を地域活性化につなげる仕組みづくりの必要性、ソーシャルビジネスとしての新しい民間の役割と可能性について、本州のニホンザルによる農作物被害対策と都市農村交流を例に講義しました。
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野生鳥獣による農作物被害(獣害)は全国で年間200億円にもなります。獣害対策の方法として電気柵の設置があるが、ニホンザルの場合は運動能力が高く、電気柵を設置してもその周囲に電線や高い樹木などがあるとそこから電気柵に触れずに農地へ侵入できてしまうので、適切な設置場所や使用方法が必要です。
農村地域には廃棄農作物など、ニホンザルには魅力的だが人には食べられてしまっても被害と感じないエサもあり、「地域の問題」として獣害をとらえることが必要です。
地域主体型管理が普及しない理由として、農村の人口減少や高齢化の他にその地域の様々な価値があることがあります。農村の様々な価値を共有し、継承することを目的とした都市農村交流を実施しました。
交流プログラムの例として、都市から参加者を募り獣害対策の支援を行ったあとに、農村でつるし柿作りや、農業体験など農村の恵みを体験します。また、サルがよく訪れる栗農園でサルよりも先に栗拾いをしてサルが来ないようするなどがあります。
こうした取り組みを継続するために、里地里山問題研究所(さともん)では、獣害対策の支援を通して地域の魅力を発信・コミュニティビジネスにしていく中間支援をめざします。