NEWS NO.186(2015年度)
2015年度 台湾・国立中興大学スタディツアープログラム閉講式
本学では、外国の大学や研究機関と学術交流協定を締結し、研修の受け入れを行っています。酪農学園大学スタディツアープログラムとして、台湾・国立中興大学の大学院生3名が、1月14日(木)から2月6日(土)まで附属動物病院で短期研修を受け、2月3日(水)に閉講式が行われました。
はじめに、本学エクステンションセンター所長の髙橋俊彦教授が「あっという間の3週間でしたが、今後の学習やキャリアに役立つ貴重な経験を積まれたことと思います。今後も中興大学と酪農学園大学の交流は続き、私たちの絆はさらに強くなっていくでしょう。あなたたちは、酪農学園大学の卒業生です。本学の精神を母校に持ち帰り、ぜひご家族や友人、先生たちに伝えてください」とあいさつしました。
続いて、研修生による研修成果の発表が行われました。
「麻酔科で学び、中興大学(中興大)と酪農学園大学(酪農大)の違いを感じました。中興大は学生よりも医師の人数が多いので、学生は常に経験ある麻酔医の指導を近くで受けることができ、麻酔プロトコール(手順と組合せ)を自分で調整しています。酪農大は学生の方が多いので、研究データ収集などの負担は軽いですが、麻酔プロトコールの自由度は低いと感じました。
手術後の疼痛管理では、酪農大では学生がペインスケール(痛みの数値化)をきめ細かく取って、鎮痛薬を増減していることに感心しました。中興大は学生が少ないため、同じことができるかどうかわかりませんが、実現に向けて、帰国後に先生たちと話し合いたいと思います。
研修では、さまざまな実験動物が使われ、臨床研究に役立っていることを経験しました。台湾ではマウスとラット以外を使うのは難しいのですが、こちらでは豚に腹腔鏡を使う手術実習ができました。また、ばん馬の去勢やアルパカの鎮静に立ち会うこともできました。本当にいろいろなものを見て、勉強させていただきました。お世話になった皆さんに、心の底から感謝しています」。
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ばん馬の去勢 | アルパカの鎮静 | 覚醒したアルパカ |
■パン・イー・シェンさん
「毎朝5時に起きて、アパートのドアの鍵穴も見えないほど暗いうちに附属動物病院へ出かけましたが、私が到着する頃には、酪農学園大学の学生さんはみんな作業を始めていました。病院では、1週間に10頭以上の牛を解剖しました。986キロもある大きな馬の去勢手術に立ち合うこともできて、とても勉強になりました。台湾にはあまり馬がいないので、このように大きな馬の去勢手術は初めて見ました。
学外の農場に、ほとんど毎日のように行き、ホルスタイン種や黒毛和種の農家や、豚と羊の農家でも実習しました。牛に名前をつけてペットのようにかわいがっていたり、尻尾をお湯で毎日拭いて清潔を保っていることに、とても驚きました。私自身が床で寝てもいいくらい、きれいな農場でした。
セイコーマートやラルズストアで、いろいろなメーカーが製造している北海道の牛乳を買って飲んでみました。北海道の冬の景色は美しく、またいつかこの素晴らしい場所を訪れたいと思っています。次回は、違う季節に来てみたいです」。
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肺炎の疑いのある子牛を検査 | 清潔な牛舎 | ラーメン食べました! |
「『光陰矢の如し』と言いますが、北海道では素晴らしい時間を過ごすことができ、すぐには台湾に帰りたくないくらいです。皆さんが親切にしてくださり、天気の悪い日はアパートまで車で送ってくれるなど、寒い季節でしたが、心が温かくなりました。
酪農学園大学のキャンパスは広大で、酪農学園大学の協定校でもある台湾・国立屏東科技大学のキャンパスを思い出しました。私は現在、中興大学の大学院生ですが、学士号は屏東科技大学で取得しました。キャンパスの面積が台湾最大で、『国立公園大学』と呼ばれているほど大きな大学です。
附属動物病院での麻酔科実習では、いつ、何をどのように投与したのかを詳細に記録していることに感心しました。麻酔科には、独自の痛み評価基準を記載する様式があり、学生が一定の時間毎に確認しています。台湾では、恥ずかしいことなのですが、時間のあるときにだけ、1日に1、2回くらいしかチェックしません。担当研修医だけにその責任が負わされていますが、患畜の痛みを軽減してストレスを少なくするためには、関わる全員が責任を持たなくてはならないと感じました。
台湾では、実習では犬や猫しか扱いませんが、酪農学園大学ではウサギから体重1トンにあるような大きな動物まで様々な種類の動物に麻酔をかけることができます。今回は帯広には行けませんでしたが、本物のばん馬を診療する機会に恵まれました。
附属動物病院は明るく清潔感があり、学生たちが休憩や打合せで利用するサロンは、窓から見える景色が美しく、雰囲気も好きです。電子カルテの利便性と機能性からも、多くを学びました。素晴らしい経験をさせていただき、酪農学園大学にあらためて感謝します。日本と台湾の友好関係が末永く続くことを願っています」。
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アルパカと | ウサギに麻酔 | バレーボールの練習に参加 |
最後に修了証の授与が行われ、全員で記念撮影をして閉講式は終了しました。