NEWS NO.189(2015年度)
フィールド情報学研究室の研究が「さっぽろ環境賞 奨励賞」を受賞
本学環境共生学類・フィールド情報学研究室(森夏節教授)の4年生、坂口大河さん、佐々木翔吾さん、雨池千里さんの3名が共同で取り組んだ研究が、札幌市が主催する「第7回さっぽろ環境賞」において、環境保全・創造部門の奨励賞を受賞しました。
受賞した研究は「札幌市における植樹帯および植樹枡のデジタルデータ化と環境評価」です。2015年7月中旬から8月末にかけて、札幌市中央区にある、花壇として利用されている2,169カ所の植樹帯と植樹枡を実地調査し、それぞれの面積、位置情報、植えられた花の種類と本数、色数などのデータをGISを用いて地図上に記録しました。また、花の本数と色数から、景観という観点で各植樹帯・植樹枡の環境評価を行い、評価別の分布を地図上に表示しました。
デジタル地図を作成することにより、植樹帯・植樹枡の環境評価や分析が迅速化したほか、町内会の単位を超えたより広い範囲での現状把握が可能となり、「『環境首都・札幌』が目指すまちづくりに貴重な資料をもたらした」と、高い評価を受けました。
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※植樹帯・植樹枡とは、良好な道路交通環境の整備、または沿道における良好な生活環境の確保を図ることを主な目的として、樹木や花を植栽するために、縁石線や柵などにより区画して設けられた部分です。その大きさによって、植樹帯や植樹枡と区別されます。
「この研究に取り組むにあたって、札幌市環境局の担当者に相談し、札幌市中央区の植樹帯・枡を記載した11年前の地図を100枚以上提供してもらうところから取り掛かりました。調査の基になるベースの地図づくりを6月から始めて、およそ2,200カ所の実地調査は、3年生にも手伝ってもらい、朝9時から夕方まで、延べ20日間をかけて行いました。
それぞれの環境評価については、高評価のモデルを、『花の本数が25本以上、色数が5色以上』としました。少ない色数の花を工夫して植えているきれいな花壇もありましたが、個人の技量やセンスに依存するため、これを高評価にはしませんでした。高評価のモデルに客観的かつ具体的な基準を定めることで、誰でも簡単に高評価の植栽を可能にすることを目指しました」。
「植樹帯や植樹枡の位置情報を取得するにあたって、GPSでは誤差が生じるため、地図と照らし合わせて建物からの距離を測るなどして、実地で綿密に取りました。取得したデータを地図に落とし込む処理には、およそ1カ月、100時間以上かかりました。札幌市では、植樹帯・植樹桝の正確な紙の地図データもありませんでしたが、今回の研究で、環境評価まで一目でわかるデジタル地図を完成させることができました。とても大変な作業だったので、今後ぜひ、札幌市で活用してほしいと思います」。
「9月上旬にさっぽろ環境賞に応募した後も、さらにデータを精査して正確なものにして、とても実用的なデジタル地図を作成させることができました。今回作成した地図は札幌市中央区だけですが、札幌市の残り9区の地図作成につながり、札幌市の景観美化に役立てば良いと思っています」。
「時間も手間もかかる、地道な調査と作業をよくやってくれました。20日間にも渡る実地調査は、学生でなければ取り組むのが難しかったと思います。札幌市もとても協力的でしたので、今後は9区のデジタル地図作成に結びついて、さまざまな分析に活かし、札幌市の環境改善につなげてもらいたいと思います。環境とGISというIT技術が結びついた、とても環境共生学類らしい研究となりました」。
●さっぽろ環境賞とは 「さっぽろ環境賞」は、札幌市の豊かな環境の保全に貢献する個人、企業、団体を表彰することにより、市民や事業者等の環境保全に関する意識の向上、環境配慮活動のさらなる普及促進を図り、世界に誇れる環境都市「環境首都・札幌」の実現を目指して創設されました。活動の内容に応じて、各部門ごとに、その功績が顕著で他の模範となる個人、企業、団体を表彰しています。 地球温暖化対策部門・・・温室効果ガスの排出削減・吸収に資する活動 循環型社会形成部門・・・循環型社会の形成に資する活動 生物多様性保全部門・・・生物多様性の保全に資する活動 環境保全・創造部門・・・上記の3部門に該当しない環境の保全・創造に資する活動 さっぽろ環境賞ホームページ(札幌市) http://www.city.sapporo.jp/kankyo/award/ |