NEWS NO.181 (2016年度)
国際的な医師向け情報誌に、本学獣医学類の研究内容が紹介
本学獣医学類・食品衛生学ユニット(田村豊教授)の臼井優准教授が公表した科学論文が、国際的な医師向け情報誌MD magazineに紹介されました。(記事はこちら)
Clostridium difficileは人の偽膜性大腸炎や抗菌薬関連下痢症の起因菌として知られており、院内感染の主要な起因菌として、最近、世界的に注目されています。研究室では、その由来として動物との関連を明らかにするため分子疫学調査を実施し、いろいろな動物が保菌することを明らかにしています。今般、この菌が環境変化に強い芽胞を形成することから、堆肥化過程で生じる熱に対しても安定であることを実験室内実験で確認しました。また、実際に野外の堆肥を調べたところ、14農場中5農場の豚農場由来堆肥からC. difficileが検出されたことを報告しました。このことは、人で問題となっている病原細菌が、家畜から環境を経由して人に伝播する可能性を示すことになりました。田村教授は、「今後、本菌の伝播経路の一端が明らかになれば、新たな予防法の開発に続くものと期待する」と述べています。