NEWS NO.110(2017年度)
RGU生物図鑑【イチイ(一位) 別名アララギ】
学名:Taxus cuspidata 英名:Japanese Yew
イチイ科(Taxaceae)イチイ属(Taxus)
【イチイ(アララギ)のあれこれ】
- 常緑針葉樹で、成長速度は遅いですが樹高20m程まで成長します。
- 樹皮は赤褐色で縦に割れ目が走ります。葉の色は濃緑色、形は線形で葉の先端は尖っていますが、柔らかく触っても痛くありません。
- 雌雄異株で、雌の木は9~10月頃に赤い実をつけます。実は甘くそのまま食べることができます。しかし、種子にはタキシンという心臓毒の一種が含まれており、有毒です。タキシンは実を除く植物全体に含まれているため注意が必要です。
- 学名のTaxusはギリシャ語で「弓」を意味し、cuspidataは「急に尖った」を意味します。
- 北海道や北東北では「オンコ」と呼び、アイヌ語では「クネニ(弓の木)」と呼ばれています。
- 「イチイ」の由来は昔、貴族の持つ笏(しゃく)を飛騨の位山にあるこの木で作り、朝廷から「官位の一位」をもらったことから「イチイ」と呼ばれるようになりました。
- 木材としては年輪の幅が狭く、緻密で加工しやすく光沢があります。建築材や鉛筆などに使われてきました。現在は彫刻や工芸品など小さくて高価なものに加工されるています。
- 「イチイ」の変種に「キャラボク(伽羅木)」があります。樹高は1~3m程と低いですが、イチイと比べて暑さや日陰に強く丈夫で育てやすいため庭木に用いられています。
- 「キャラボク」の材には微かな香りがあり、インドの香木「伽羅」に似ていることから「キャラボク」と呼ばれるようになりました。
- 鳥取県の大山にある「キャラボクの群生地」は国の特別天然記念物に指定されており、「ダイセンキャラボク」と呼ばれています。
- 「イチイ」と「キャラボク」の見分け方は、イチイは樹高が20m程になり、葉が2列水平に並ぶのに対して、キャラボクは樹高が3m程で、葉はらせん状になります。
- イチイは幹が直立するのに対して、キャラボクは主幹がはっきりせず、下部から分岐することが多いです。
(文責)環境共生学類 4年 丸山 駿