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実践酪農学でむかわ町産業振興課・農政グループ主任 飛岡雅幸氏が講義

  NEWS NO.51(2014年度)

実践酪農学でむかわ町産業振興課・農政グループ主任 飛岡雅幸氏が講義

 

 本学農食環境学群循環農学類の「実践酪農学」では、農業の分野でさまざまな立場で活躍している外部講師を招き、講義を行っています。7月18日(金) は、むかわ町産業振興課・農政グループ主任の飛岡雅幸氏が、「むかわ町の新規就農の取り組みについて」と題して講義を行いました。

 

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●飛岡氏の講義●

 「むかわ町は、人口約9,200人で、農業、林業、水産業の1次産業が基幹の町です。全国的には、ししゃもが有名です。夏は比較的涼しく、冬は日照時間が長く積雪が少ないので、1年を通してビニールハウスでトマト、春レタス、ニラなどの野菜を栽培できるのが魅力です。

 

 むかわ町の新規就農の取り組みは、町の若手農家たちの、もっと仲間を増やしたいという思いから始まりました。彼らが主体となって『新規就農等受入協議会』を設立し、就農相談会や農業体験の企画、受け入れ調整を始めました。

 新規就農を目指す人は、まずは東京、大阪、札幌などの各地で開催される就農相談会に出席します。それから、2泊3日から最長1か月程度の、短期就農体験をします。農家に住み込みで、参加費は無料で日当も出ます。そこでやれると思った人は、1年~3年の長期農業体験をし、基本的な農業をしっかりと体験します。この間は、生活支援のための手当が支給されます。

 これを終了して独立就農を希望する人には、具体的な就農計画書を提出していただきます。それを関係機関で審査し、合格すれば、今度は研修農場で原則2年間、研修を受けます。つまり、独立までは通常、最短で3年はかかることになります。

 

 独立就農できる可能性が高い人というのは、意欲があることはもちろんですが、十分な自己資金がなくてはなりません。さまざまな支援は受けられますが、それでも300万円から500万円程度の資金は必要です。そして、これが一番大事なのですが、一緒に営農するパートナーがいることです。農業は一人ではできません。地域での人間関係を作れることも大切です。都会よりも、田舎の人間関係の方が実は大変です。

 実際に独立就農した人は、研修農場を設立した2010年以降で5名になりました。就農した後も、農業講習会という勉強の機会を月一回程度設け、トラクターの操作の仕方やビニールハウスの建て方といった、農業に関する基礎知識を学んでもらいます。これは、ただ単に知識を身につけるだけでなく、相談の場となっており、新規就農者や研修生同士の横のつながりを密にする効果もあります。

 うまく独立するまでには至らない人たちもいます。一番多いのは、想像していた農業と現実との違いで、思った以上に農作業がきつかったというものです。また、数字に弱い人も難しく、最低でも表計算などのパソコン操作ができないと、厳しいと思います。

 新規就農者たちと向き合っていて感じるのは、彼らは人生を賭けて来ているということです。30代や40代の働き盛りで、小さい子どもたちを連れてやって来ます。彼らは、町の農業者たちにとって大きな刺激になっており、私は町を動かす起爆剤にもなり得ると感じています。

 

 これから新規就農を目指す方は、とにかくまずは体験してください。体験することで、農業の現場をできるだけ多く知って欲しいと思います。農業以外の社会経験も、必ず役立ちます。そして、就農はゴールではなく、そこがスタートです。そこからが本当の勝負なんだという気持ちを、忘れないでいただきたいと思います」。

 

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